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読書記録です。
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2010.05.18 Tue
イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)イワン・デニーソヴィチの一日 (新潮文庫)
(1963/03)
ソルジェニーツィン

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「イワン・デニーソヴィチの一日」はいつか読もうと思っていた。
ソビエトの強制収容所の話だと知っていたので、気合を入れないと読めない重い作品なのではないかと、なかなか手が伸びなかった。
先日、ソビエトの収容所が舞台になっていた「「グラーグ57」を読んだ。
そこで、この機に乗じて、「イワン・デニーソヴィチの一日」も読んでみようと思った。

図書館で借りたのは昭和37年第一刷という古い訳の文庫本だった。
しかし思いのほか読みづらさは感じなかった。
あとがきによると、原作自体が吟味された簡潔な文体で書かれているという。
苦を感じずに読めたのは本の薄さや、そうした文体のせいばかりではない。
強制収容所という過酷な場に身を置きながら、主人公のイワン・デニーソヴィチは一日を実に生き生きと過ごしている。
イワン・デニーソヴィチは誇りを持って仕事に臨み、仕事の出来栄えに満足感を覚る。十分とは言えない食事にさえも喜びを見出す。

そんなふうに一日を幸せに終えたイワン・デニーソヴィチに対して、本を閉じた私は複雑な思いだった。
強制収容所に比べるとはるかに恵また環境に居ながら、私はイワン・デニーソヴィチのような充実感を持って一日を終えることは少ない。
強制収容所の囚人たちのように、生きることだけに集中して一日を過ごしていないせいだろうか。

ソルジェニーツィンの処女作である本書が出版されたのは、1962年。
ソビエトはフルシチョフの時代だ。
この作品を世に出そうとした編集者がフルシチョフ首相と直接面談し、作品を発表する許可を得たそうだ。
どの本も読む人によって受け止め方が異なるが、「イワン・デニーソヴィチの一日」は、特に多義な解釈が出来る作品だと思う。
トルストイの系譜のような作品でもあるし、物にあふれた現代の私たちに警鐘を鳴らす作品でもある。
スターリン亡後なおも生活が窮乏していた国民への、なんらかのプロパガンダとして「イワン・デニーソヴィチの一日」を利用しようという意図がフルシチョフにあったのかもしれないと詮索させるような作品でもある。

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