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読書記録です。
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2010.06.12 Sat
通話 (EXLIBRIS)通話 (EXLIBRIS)
(2009/06)
ロベルト ボラーニョ

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南米の作家とはあまり相性が良くない。
南米出身の作家の小説を読んで、初めて好きだと思ったのが、この『通話』だ。
著者のロベルト・ボラーニョ(1953~2003)はチリ生まれの作家。
2003年に50歳で亡くなっている。小説家でもあり、詩人でもあったそうだ。

『通話』は短編集で、「通話」「刑事たち」「アン・ムーアの人生」という三つの項目に分類されている。
「通話」には日の目を見ることが無かった作家の物語が5篇、「刑事たち」は何らかの形で事件が絡んだ物語が5篇、「アン・ムーアの人生」には女性を描いた短編が4篇収められている。

どの物語も登場人物が少ない。
ほとんの短編が、語り手の目から見たたったひとりの相手の物語だ。
他の小説のような神の視点ではないため、語られている人間の言動の理由が明らかにされない場合が多い。
実生活で私たちが他の人間の全てを知りうることが無いように、ボラーニョの短編も、語り手が知っている範囲でだけ物語が語られる。
そのせいか、本を読んでいるのに誰かから直接話を聞いているような気持ちになった。

『通話』には、心を病んだ女性が何人か登場する。
「エンリケ・マルティン」のなかで、「詩人の人生には破滅と狂気と死が待ち構えている」と書いているボラーニョは、そういう女性たちのなかに詩人と同じような気質を見出し、そこに轢かれたのかもしれない。

「センシニ」
語り手の「僕」はメキシコからスペインにやって来た、20代の青年。
作家を目指している僕は、アルコイ市のスペイン文学賞に応募し三位に入賞した。
その同じ賞の二位には、アルゼンチンの作家ルイス・アントニオ・センシニの名前があった。
センシニの小説のファンだった僕は、センシニに手紙を送った。そこから、センシニと僕の文通が始まった。

「芋虫」
連日、学校をさぼっている「僕」は、メキシコ市内の映画館や公園沿いにある本屋で時間を潰していた。
書店の窓から見える公園のベンチには、いつも同じ男が座っていた。
ストローハットに白いシャツの男は「芋虫」に似ていた。
あるとき、芋虫が僕に声をかけて来た。
そのときから僕はベンチの芋虫の隣に座り、芋虫が語る故郷の村の話に耳を傾けるようになった。

「アン・ムーアの人生」
1948年生まれのアン・ムーアの半生を綴った作品。
アンが10歳のときに姉のボーイフレンドが起こした陰惨な事件が、その後のアンの人生に影響を及すことになった。

あとがきによると、語り手の「僕」は作家の分身的な存在なのだそうだ。
「ぼく」を含む短編の主人公たちは、出会った人々と束の間の関係を結び、離れていく。
誰かと共に人生を生きようとすると失敗に終わってしまう。
50歳で亡くなったポラーニョの人生の片鱗に、物語のなかで出会ったような気がする。
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