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読書記録です。
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2009.04.20 Mon
2003年2月発行  岩波文庫  700円
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タイトルどおり、森の小道・二人の姉妹という2篇が収めれた本です。
どちらも田舎に住んでいる裕福な男性が主人公です。
『石さまざま』にも同じような田舎のお金持ちが登場しました。
シュティフターが生きてい時代は、日本では江戸時代後期に当たります。
その時代の日本で、お金と時間に余裕があってあちこち旅行に出かける地主というのは考えにくいですが、ドイツ・オーストリア辺りにはそういう階級の人がわりと大勢いたのかもしれませんね。
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『森の小道』
父と叔父から遺産を相続したティブリウスは、思いつくままバイオリンを弾いたり、絵を描いたり、さまざまなものを収集したりして暮らしているうちに病気になり、家にこもるようになってしまった。
そんななかティブリウスは医者の勧めで温泉に湯治に出かけることにした。
湯治先で、軽い散歩をするつもりで森の小道に入ったティブリウスは、しばらくすると方向を見失ってしまった。
『二人の姉妹』
ある請願をするためにウィーンに出かけた語り手の"私”は、旅の途中で黒服の青ざめた顔の男性と出会い、パガニーニ氏とあだ名を付けた。
ウィーンのホテルで再会した私とパガニーニ氏は親しく話をするようになり、ある日二人で劇場に出かけた。そこで、幼い姉妹が天才的なバイリオリンの演奏を披露するのを目にしたパガニーニ氏は私の隣で激しく涙を流し続けた。
その事情を訊かないまま私はパガニーニ氏と別れた。
数年後、旅行に出た私はパガニーニ氏の住まいを訪ねてみようと思い立った。
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登場人物の心理が深いところまで掘り下げられていないので、読んでいると物足りさを感じるところもありますが、物語にはシュティフターならではの美意識が感じられ、水彩で描いた淡い色調の風景画を眺めているような気持ちになりました。
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2009.04.01 Wed
2006年5月30日発行  松籟社  1500円


本を読み始めたのは、イライラして落ち着かない気分のときでしたが、読み進めるうちにゆったりした気持ちになりました。
扁桃体が、森林のなかを歩いていると錯覚したのかも。

シュティフターが活動していた時代には、いたるところに手付かずで残っていた自然を、200年後の私は本を読むことで味わいました。文章の合間から森林の香りが立ち上ってくるようでした。
シュティフターが生きた時代より、現在のほうが求められる本だと思います。
(下)は(上)のように妙に耽美的な感じがしないところも好かったです。
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『水晶』
グシャイトという谷間の村の靴屋が、そこから三時間ほど離れたミルスドルフという大きな村の染物屋の娘と結婚した。
それから数年後、靴屋の家に生まれた男の子コンラートと、ひとつ年下の女の子ザンナは、二人が来るのを心待ちにしている祖父母の家へ二人だけで行けるようになっていた。
ある年のクリスマスの前日、コンラートとザンヌはいつものようにミルスドルフを訪れた。
日が短く寒いので早めに帰るように祖母に言われてミルスドルフを発ったコンラートとザンナだったが、歩き始めて間もなく雪が降りだした。
兄妹は休むことなく足を勧めたが、雪はますますさかんに降り続けた。
辺りがすっかり雪で覆われてしまうと、二人は進む方向がわからなくなってしまった。

『白雲母』
都会から離れた美しい土地にある農園に暮らす金髪のエマ、黒髪のクレメンティアという姉妹と少し年の離れた弟のジギスムントは、祖母と一緒に農園の上にある胡桃山へときどき胡桃を採りに出かけた。
カバンいっぱいになるまで胡桃を採り終えると、祖母はその地方にまつわるさまざまな逸話を子ども達に語って聞かせた。
ある日、祖母が話をしていると、そばの茂みから見知らぬとび色の女の子が歩み出てきた。
「あなたは誰なの」と祖母が問いかけると、女の子は茂みの奥に駆けていった。
祖母と子ども達が、とび色の女の子に会いに頻繁に胡桃山へ行くようになると、女の子も少しずつ彼らに馴染み、農園までついて来るようになった。

『石乳』
ある地方に堀に囲まれたアクスという城があり、城主や住民はそのなかで生活をしていた。
城主は美しい顔立ちをしていたが身体が小さく、顔とのバランスが悪かった。
また子どものように純真だったが支離滅裂なところがあり、独身で身寄りがなかった。
年を重ねると、城主は生き生きとした面白い老人になった。
財産管理人は、そんな城主の一番のお気に入りの友人で、財産管理人の家族は城主にとっても家族同様だった。
城主は財産管理人の子ども達に愛情を注ぎ、財産管理人の子ども達に遺産を分配するようにと遺言に記すほどだった。
そんな頃、フランス戦争が起こり、城の付近にも軍隊がやってきた。
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『石乳』は、とりとめがないストーリーで、あまりよくわかりませんでした。

2009.03.27 Fri
2006年5月31日発行  松籟社  1500円
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アーダルベルト・シュティフター(1805-1868)は、現在のチェコ南部で生まれた作家です。
ヨーロッパでは極端に評価が分かれる作家のようです。

シュティフター作品は風景描写が延々と続くという評判のわりに、「石さまざま」(上)の三篇はストーリー性も豊かで、楽しんで読めました。
けれども、最初の「花崗岩」を読み終えたときに感じた清清しさと、「石灰石」「電気石」を読んだあとでは印象が変わりました。
三篇しか読んでないのではっきりとは言えないのですが、清廉な表面の下に非常に耽美的な部分が潜んでいるように感じました。
「石さまざま」は(下)も読む予定なので、そのときにはもっと明快な感想を書きたいと思います。
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『花崗岩』
語り手の「私」は幼い頃、家の前に花崗岩に腰掛けるのが好きだった。
暖かい春のある日、幼い私がいつものように花崗岩に座っていると、ピッチ(油の一種)造りの老人が通りかかり、「足に塗ってやろうか」と声をかけてきたので、私は足を前に差し出した。
油まみれの足で家に戻った私が母に折檻されしょんぼりと花崗岩に腰掛けていると、祖父が来て足を洗ってくれた。
優しく寛大な祖父は私を連れ出し事情を訊いてくれた上で、ピッチ造りの老人の血縁にあたる人の数奇な一生を語り始めた。

『石灰石』
測量の仕事をしている友人が語るという形式の小説。
長年にわたり測量の仕事をしていたわたしは、いろいろな土地に行き、大勢の人々と知り合いになった。そのなかでもひときわ印象に残っているのは、石灰石に覆われた貧しい土地の司祭だった。
見たことがないほどくたびれきった服をまとった司祭は、質素な司祭館に住み、非常に慎ましい生活を送っていた。
ところがボロボロの黒い服の袖口からときおり見える下着は、わたしがこの世で見た限りもっとも上等で美しいものだった。
わたしはその土地で測量の仕事をしながら、朴訥な人柄のその司祭と次第に親交を深めていった。
そんなわたしに、司祭は遺言状を保管して欲しいと頼み、自分の生い立ちを語った。

『電気石』
前の二篇とは趣を異にするミステリー風の短編。
数年前のウィーンに、同じ館の住人から「年金のご主人」と呼ばれる40歳ぐらいの男がいた。
男は部屋中を有名人の肖像画で飾り、ピアノやヴィオリンを嗜む趣味人で、美しい妻と小さな娘と一緒に優雅な生活を送っていた。
その頃ウィーンには、人々をひきつけて止まないダルという非常に才能のある俳優がいた。
社交界の寵児でもあったダルは年金生活者と仲良くなった。
足しげく年金生活者の住まいを訪れるようになったダルは、年金生活者の妻と情事をしはじめた。
妻は不安から夫にすべてを打ち明け、怒りにかられた年金生活者はダルを探し回ったが、ダルの行方はようとして知れなかった。
そんなとき、年金生活者の妻が姿を消してしまった。
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三篇のなかでは「花崗岩」が一番好きです。「石灰石」も印象に残る美しい小説だと思います。
「電気石」はストーリーの組み立て方と、妻がどうなったのか最後まで明されないところが変だと思いますが、フェリーニのような映像が浮かんできて、わりと好きです。
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