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読書記録です。
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2008.08.30 Sat
2008年8月10日発行  白水社 1800円



2003年に「メディシス賞」、2005年に「アジア地区の高校生が選ぶセガレン賞」を受賞しています。
フリップ・ロスのところで駄弁な作家とだ書きましたが、ユベール・マンガレリの本に登場するのは、殆どが寡黙な人々です。発っせられた言葉そのものより、言葉の周辺や奥にあるものを、情景のなかで表現しようとする作家です。
女性には興味が持ちずらい表題の本ですが、戦闘シーンなどは殆どなく、人との出会いが淡々とした文章で綴られています。戦争を題材にした小説が苦手な私でも抵抗なく読めました。

作品のなかでは詳しく語られていませんが、あとがきによると、舞台になったのは1919年のロシア戦線です。
ロシア赤軍に入隊した語り手のベニヤは、進軍を続けるなかで、三人の仲間と出会いました。それは天涯孤独のベニヤにとって、他人と親密な関係を築いた初めての体験でした。物資がと乏しく、厳しい野営地の生活のなかでも、彼らは楽しみを見つけ、思い出を積み上げていきます。そんな四人に一人の少年兵が加わりました。いつもノートに文字を書きつらねている少年を見て、四人は自分達のことをノートに書いて欲しいと望みました。

親しい人の傍で、ただじっとしている。そんなときの静かで満ちたり気分を思い起こさせてくれる一冊です。



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2008.08.29 Fri
2003年5月25日発行  筑摩書房 3600円


「善人はなかなかいない」が良かったので、こちらも読んでみました。
「善人はなかなかいない」を読んだときほどの衝撃は感じませんでしたが、人間の欺瞞を見抜いて描き出す才能は卓越した作家だと思いました。

生きのこるために
知的障害があり口が利けない孫娘と老婆が二人で暮らしている農場に、シフトレットという片腕の男がやってきた。
老婆は大工だというその男に不信感を抱いたが、男の仕事ぶりを見るうちに、孫娘と結婚して欲しいと思うようになった。
農場に浮かぶ太陽まで自分の所有物だと思うような強欲な老婆と、何でも他人のせいにして生きているシフトレットという男が、おかしく哀しい。
人造黒人
田舎に住んでいるミスタ・ヘッドは、10歳になる孫のネルソンをつれて、アトランタに行くことにした。今のうちに都会を見せておけば、孫は都会の恐ろしさに怖気づき、都会に出ようとは思わなくなるだろう、という魂胆からだった。ある日の早朝、ミスタ・ヘッドはネルソンを連れて、アトランタ行きの列車に乗った。
田舎ではひとかどの人物と目されているミスタ・ヘッドだったが、慣れない場所で混乱をきたし、思えわぬところで地金を露呈してしまう。
田舎の善人
ミセス・ホープウェルは「田舎の善人」という言葉がお気に入りだ。
使用人で欠点の多いミセス・フリーマンのことも、身持ちが悪いミセス・フリーマンの娘たちのことも「田舎の善人」という言葉で一括りにする。ミセス・ホープウェルの唯一の気がかりは、31歳の一人娘ジョイのことだった。子どもころの事故が元で義足をつけているジョイは、大学で哲学の博士号を取得した気難しい娘だった。ある日、ミセス・ホープウェルの家に聖書のセールスマンがやってきた。「田舎の善人」を絵に描いたようなセールスマンは、ある目的を持って娘のジョイに近づいた。
2008.08.29 Fri
2004年4月30日発行 集英社 2200円




ヒューマン・ステインは「人間の穢れ」という意味だそうです。
フィリップ・ロスを読むのは、これが始めてです。
コールマン・シルクという71歳の元大学教授の生き方を描いた小説です。
20代のコールマンは、それまでの自分と決別し、本来とは違う人間として生きる決断をしました。様々な資質に恵まれたコールマンは、大学の学部長にまで上り詰めましたが、黒人への差別発言をしたという濡れ衣を着せられて、失脚していまいます。それはまるで、隠蔽した過去が、コールマンに牙を剥いたかのような皮肉な出来事でした。

物語は、コールマンの現在から過去へ、コールマンと関係する人物の視点へと自在に変化しますが、作家の力量からか、戸惑いを感じずに読めました。
フィリップ・ロスがこの小説を書き上げたのは、六十代の後半でした。
その年齢になって初めて、紆余曲折した人生の全体像が見える、ということがあるのかもしれません。
フィリップ・ロスは駄弁な作家で、小気味よい切れ味で人物を描写していますが、言葉を尽くしたその先を読もうとすると、なかなか難しい作家だと思いました。
一冊ではわからないので、他の作品も読んでみようと思います。
2008.08.20 Wed
1998年5月25日



フラナリー・オコナー(1925-1964)はアメリカの女性作家です。
本書には5篇の短編が収められています。
最初の「善人はなかなかいない」は、あまり良いとは思いませんでした。ですが、2篇目の「強制追放者」を読んで、いっぺんに考えが変わりました。フラナリー・オコナーは凄いです。
人は誰でもその人なりの正義感をもって、他人になんらかの判断をくだしながら生きています。その自分の正義感が、ご都合主義で歪んでいることに全く気づかない人々を、オコナーは鋭敏な眼差しで見事に捉えています。この小説のなかの人物に良く似た人間は私の周りにも大勢います。それどころか、私自身も本に描かれた人々と、そんなには違わないんじゃないだろうかとさえ思えます。 日本ではここ数年、家族間や、親しい間柄での殺人事件が増えている感がありますが、本書にはそういう親密な関係のなかで齟齬をきたす過程が、不気味なほどリアルに描き出されています。

強制追放者
マッキンタイヤ夫人の農園に、ナチの手を逃れたポーランド人の一家がやってきた。機械の操縦が得意なポーランド人の夫が農園の仕事をてきぱきとこなし始めると、マッキンタイヤ夫人は農園で働いているショートレイの仕事ぶりに不満を感じるようになった。解雇するつもりでいたショートレイ一家が農園を去ると、マッキンタイヤ夫人は今度はポーランド人に対する不満が高まり、居なくなったショートレイ夫人とのおしゃべりが懐かしくてたまらなくなった。そんな折、ショートレイ一家が農園に舞い戻ってきた。
「世界の苦しみは、私の責任じゃないんだから」と口にするマッキンタイヤ夫人の言葉はどこか身につまされて、笑いたいのに笑えない。
森の景色
老人は一番下の孫で、自分に良く似た顔立ちのメアリー・フォーチュンが大のお気に入りだ。老人は9歳のメアリーと一緒に、自宅の周囲が開発されるようすを楽しんで眺めていた。ところが、老人が家の前の土地を売ると口にして以来、孫娘は反抗的な態度をとり始めた。
家庭のやすらぎ
父が亡くなった後、トマスと母は静かな落ち着いた生活をしていた。
トマスの母は愛情過多なところがあり、困っている人間を見ると闇雲に手を差し伸べる傾向がある。ある日、新聞を見ていた母は、一人の娘の顔写真に目をとめた。偽造為替で捕まった娘だった。留置場を訪ねた母は、娘の身の上に同情し身元引受人になった。さらに母は、弁護士に相談し、娘を仮釈放させるように計らうと、仕事先と預かり先も決めてやった。けれど素行の悪さから預かり先を追い出された娘は、トマスの家で一緒に暮らすことになってしまった。
「性昴進症」と診断された娘と暮らすことにトマスが異を唱えると、「ずっと思ってたのよ。あんただって、そうなったかもしれないって」と母が答えると――ゆっくりとあの娘に変身していく気がして、トマス自分自身への耐えがたい嫌悪を感じた――心理描写の上手さに、引き込まれます。

2008.08.19 Tue
2001年11月30日発行  角川書店  1000円



映画「ショコラ」と同じ村を舞台にした別の物語です。
「ショコラ」は未読ですが、映画化されたものをテレビで見ました。ジョニー・デップが出ていたので。
「ブラックベリー・ワイン 」は雰囲気は良いのに、もの足りない感じがします。
人物に奥行きが感じられず、主人公の男性の苦悩が伝わってきません。
ずっ しりした小説は苦手で軽めの読み物が好きという方や、ガーデニング好きの方にはお勧めかも。

14年前に「ジャックアップル・ジョー」という長編長編小説でゴングール賞を受賞した37歳の作家ジェイ・マッキントッシュはそれ以降、別名で俗悪なSF小説しか書いていない。そんなジェイ・マッキントッシュの元に、不動産のダイレクトメールが届いた。パンフレットに載っていたフランスの館を見たとたん、ジェイは購入を決めた。それは、「ジャックアップル・ジョー」の主人公にもした、ジェイにとって忘れらない老人が憧れていた館だった。ジェイがその老人と会ったのは13歳の夏、田舎の祖父母の家に預けられたときだった。地元の不良に絡まれ一方的にやられたジェイは、何かに呼び寄せられたようにポグヒル通りに入り込み、そこでジョー・コックスという老人から声をかけらたのだった。
フランスのランスクネという村の館を購入したジェイは、早速そこに移り住んだ。新たな生活を始めたジェイの隣家には、マリーズ・ダビという女性が娘と二人で暮らしていた。村のなかで孤立しているマリーズ・ダビにジェイは次第に惹かれて行った。
2008.08.02 Sat
1992年2月発行 筑摩書房 680円



「バベットの晩餐会」は映画を見ていて、とても好きな作品です。
著者はイサク・ディネーセンとなっていますが、アイザック・ディネーセンと同一人物です。
「アフリカの日々」が良かったので、こちらも読んでみました。

マチーヌとフィリッパという中年の姉妹は、ノルウェーの寒村で暮らしていた。
カリスマ的な牧師だった父の後を継いだ姉妹は、信者の相談にのったり、信者と天国について語りあったりしながら慎ましい生活を送っていた。
そんな姉妹の家には、バベットというフランス人の家政婦がいた。
フランス革命を逃れたバベットは、姉妹の知人の紹介でノルウェーのこの村にやってきたのだった。
バベットが姉妹の家で暮らすようになってから14年後の秋、フランスの切手が貼られた1通の手紙が、バベットの元に配達された。友人に頼んでフランスの富くじを買っていたバベットに、1万フランが当たったという報せが届いたのだった。
その年の12月15日は、ちょうど今は亡き牧師の生誕百年の記念日に当だった。
バベットは百年祭に振舞う料理の全てを自分に任せて欲しい、それにかかる費用も自分に払わせて欲しい、と姉妹に申し出た。

本には他に「エーレンガード」という物語も併録されています。
こちらは、王子様やお姫様も登場する120年前のヨーロッパの小国が舞台になった物語です。

バベッドもエーレンガードも、特に信仰心が篤かったり、知的だったりするわけではないのに、しっかりとした信念を持って行動する女性です。
どちらも女性達の潔い決断が、とても心地良い物語です。
2008.08.02 Sat

2008年3月11日発行  成文社 1600円


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イヴァン・ツァンカル(1876~1918)はスロヴェニア共和国の作家です。
本には「一杯のコーヒー」という掌編と、「使用人イェルネイの正義」という2編が併録されています。
「一杯のコーヒー」は、スロヴェニアの国語の教科書によく取り上げられ、スロヴェニアの人々にとっては馴染み深い物語だそうです。
悪意は、それを何らかの形で実行に移した場合にのみ、罪なのだろうか。
そうではなく、心のなかに悪意を抱きながら隠しているのは、それを実行した場合よりさらに罪深いのではないだろうか、と著者は問いかけています。
「心は、足の運びや扉の叩き方やお茶のすすり方によってさえ、罪びとを裁いて罰を言い渡す」 という一文は、自分を省みて、本当にそのとおりだと思います。
まっすぐ心に働きかけてくる掌編です。
「使用人イェルネイの正義」も、定められた法による正義ではなく、本当の正義とは何かと考えさせられる作品です。
どちらも、人間の良心の本質について深く問いかける作品です。
本書を読んだことで、人生観が変わる、という人もいると思います。
今まで気づかなかったことや、やり過ごしてきた自分の卑小さに気づく契機になる本です。

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