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読書記録です。
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2008.10.31 Fri
2005年9月30日発行  新潮社  1600円



ピストル自殺したリチャード・ブローティガン(1935~1984)の遺品から遺族が発見したノートが、この小説です。
日記のような形式で綴られていますが、翻訳者の藤本和子によると日記として書かれたものではなく、あくまでも著者の創作であり小説なのだそうです。
ブローティガンとの出会いが最後に書かれたこの一冊である私は、読みながら人の生を逆回転で観ているような感じがしました。

知人の女性が縊死したことから、語り手は一冊のノートにそのことを書こうと思い立ちました。
けれど、彼が実際にノートに綴ったのは縊死した女性のことではなく、日常のなかで目にしたどこか違和感を感じさせる光景についてと、とめどなく行き来する心の内についてでした。

何かを考えようとしても考えがまとまらず、バラバラのそれをただ眺めている、という状態のときがあります。
そんな状態で漠然と風景を見ていると、キラッと反射するように何かが目に入ってきて、それが心に引っかかる。縊死した女性について語る代わりに、語り手はそれをノートに綴りました。縊死した女性のことに直接触れてはいませんが、彼がノートに残したのは、その女性のことを書こうと思いながら見た光景であり心の移ろいであったことは確かだと思います。

47歳の語り手は、誰かを訪ね話をしても、ほんとうのところは誰ともコミットしようとはしません。
ブローディガンが48歳で亡くなったことを思うと、語り手がそのまま著者ではないと言っても、どこからも切り離された光景のなかで立ち尽くすこの男の孤独は、ブローディガン自信が抱えていたものではないのか、と思わずにはいられません。
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2008.10.21 Tue
1997年2月10日発行  文芸春秋 2200円
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中篇が4編収録されています。
どれも、ところどころでクスッっという小さな笑いを誘いつつ、その背後にはひっそりとした悲哀が漂っています。
小説としてまとまっていると思うのは「会計士」ですが、私が好きなのは「傷心の町」と「パートルシャーグとセレレム」です。
この4篇の中篇の共通点は「戸惑い」です。それぞれにみんな、戸惑っています。
「パートルシャーグとセレレム」は数学が得意な変わり者の兄を持つ弟の、「傷心の町」は中年男性の、それぞれの人生の戸惑いを綴った物語です。
「会計士」は出世した友人に、「宮殿泥棒」は策略に戸惑っている人の姿が、淡いユーモアに包まれて描き出されています。

気持ちのなかの当人でもよくわからないような漠然とした部分が、上手く物語になっています。
4篇のどの立場も経験したことはありませんが、主人公が抱く感情はどれも馴染のあるものでした。

2008.10.20 Mon
1992年6月25日発行  二見書房 1650円

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面白かったです。
私が面白くても、他の人にはあまりお勧めできないわ、という本も結構ありますが、これは殆どの方が面白く読める本だと思います。女性には特にお勧めです。

映画や本のなかで、ときたまユートピアのようなアメリカに出会うことがあります。
アラバマ州ホイッスル・ストップは取りたてて口にするようなものは何も無いアメリカの田舎町です。けれど本を読み進めて行くうちに、そこへ行きたいという強い願望が沸いてきました。
笑いながら読めて、人生についてしみじみと考えさせてくれて、泣けて、なおかつ殺人事件も起こるという盛りだくさんな本です。
絶版のようなので、図書館で借りてください。
もしかしたら、この本を手にした幾人かの人にとって、人生で出合った最良の物語になるかもしれない、と思います。

子育ての時期が終った中年のエヴリン・カウチはダイエットも長くは続かず、何事にも自信が持てないまま、うつろな日々を過ごしていた。
夫と一緒に義母がいる老人ホームを訪ねたエヴリンは、老人ホームの待合室でニニー・スッレドグッドという86歳の老女に話しかけられた。
ニニーは、故郷のホイッスル・スットプという小さな町の人々について、延々と話はじめた。最初は老女のお喋りに辟易していたエヴリンだったが、個性的な人々のユーモラスな様子や、恋愛を巡るスリリングな話の展開に、しだいに強く轢かれていった。
2008.10.18 Sat
2004年5月発行  理論社  1500円



ジョイス・キャロル・オーツ(1938~)は、オーヘンリー賞、全米図書賞などを受賞し、何度もノーベル文学賞候補になっている女性作家だそうです。
本書は、ジョイス・キャロル・オーツの始めてのヤングアダルト作品です。
トラブルに巻き込まれた男子高校生と、その男子高校生に唯一救いの手を差し伸べた女子高校生のお話です。原題が「Big Mouth &Ugly girl」で、男の子の章と女の子の章が交互に繰り返されます。こういう手法は読んでいてまどろっこしい感じがすることも多いですが、この小説では口に出して言えないお互いの気持ちがうまく伝わってきて、功を奏しています。

不用意な発言から爆弾犯の疑いをかけられた11年生のマット・ドナヒーは、三日間の停学処分になった。友人が多いマットだったが、窮地に陥ったマットに連絡をくれたのは、アーシュラ・リグスという話をしたこともない女の子だけだった。
身長が180センチもあるアーシュラは、独特の威圧感があるとっつきにくい女の子だった。
今まで親しい友達だと思っていたクラスメートや教師がマットを遠巻きにするなか、アーシュラはひとりで校長にかけあいマットの容疑を晴らしてくれた。
容疑が晴れてもマットと友人の関係は好転しなかった。メールのやり取りをするうちにマットとアーシュラはしだいに距離を縮めていった。

それまで軽いノリで過ごしてきたマットは、トラブルとアーシュラを通じて人を見る目が深まっていきます。
ジョイス・キャロル・オーツは「伝わること」を念頭に置いてこの小説を書いたそうです。著者の伝えたいことが、はっきりと伝わってくる読んでいて気持ちの良い物語です。
2008.10.08 Wed
2007年2月発行 理論社 2500円
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ベルリン三部作の最後です。
結構な厚さの3冊でしたが、一挙に読みました。
ヤング・アダルト向きの本なので、政治について書かれた部分も難しいイデオロギーなどはなく、会話のなかで解りやすく説明されています。
三部作の主人公は、いずれもゲープハルトという貧しい家族の少年少女です。
この三部作のなかで、ゲープハルトの一家はずっと同じアパートに暮らしています。貧しい人々が住むこのアパートにもナチ党員になった人が居ます。
けれど、この本の主人公エンネの祖父母や両親は体制に流されることなく、目を見開いて何が正しいのかを自分で判断ながら生きています。
平凡な私達の個々の選択が歴史を動かす、ということが実感できる三部作です。

1945年2月、敗戦の色濃いベルリンで、12歳のエンネは祖父母と暮らしています。
エンネは祖父母を両親だと思って育ちました。4年前の夏、同じアパートに住んでいるナチ党員から、「KZ娘が!」という言葉を浴びせられ祖父母に尋ねたエンネは、父のヘレが通称KZと呼ばれている強制収容所に居ると知らされました。
ベルリンは英米軍の空襲により市内の大部分が破壊されていました。
連日、空襲警報が鳴り響き、その度エンネや祖父母、アパートの住人は防空壕に逃げ込んでいました。
空襲警報が解除され防空壕からアパートに戻ったエンネは、テーブルの上に乗っているメモを見つけました。メモには「9時、10時、11時。スポーツパレス」と暗号のような言葉が並んでいました。
祖父は、イタズラだと紙を丸めかまどに投げ捨てましたが、エンネはもしかしたらメモを残したのは父かも知れないと思いました。翌朝、家を出た祖父の後を、エンネはこっそり追いかけて行きます。
2008.10.08 Wed
2001年2月発行 理論社 2400円
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二作目の舞台は、1932年から1933年にかけてのベルリンです。
当時のベルリンは4百万を超える人々が暮らす大都市でした。
地下鉄やバスなどの交通機関も整備され、市の中心部にはデパートや劇場が立ち並んでいました。
そういう華やかさの一方で、ベルリンだけでも60人万人以上が失業し、栄養失調で命を失う子どもは後を絶ちませんでした。
第一次世界大戦の敗戦からベルサイユ条約で法外な賠償金を支払うことが決められたドイツでは、貧困を打開する策が見つからず、政権はいづれも短命に終わっていました。
そんななかゲルマン人の優秀さ謳い、ベルサイユ条約の破棄、領土の拡大を主張するヒトラーのナチ党にドイツの人々の気持ちが傾いていきます。

本書の主人公ハンスは、ヘレの弟です。
結婚し別のアパートで暮らしているヘレは共産党員ですが、父は共産党を離党し、14歳のハンスも共産党員ではありません。工場に働きに出ることになったハンスは、同じ工場のナチ突撃隊から、親や兄が共産党だということで、因縁をつけられます。
周囲にも徐々にナチ党員が増えていくなか、ハンスには同じ工場に勤めるガールフレンドができました。ミーツェというその少女は、ユダヤ人との混血でした。

2008.10.07 Tue
2006年2月発行  理論社  2500円



著者のクラウス・コルドンはヤング・アダルト向きの小説を多数手がけているドイツ人の作家です。
第一次世界大戦の終わりから第二次世界大戦の終結までを描いた「ベルリン1919」「ベルリン1933」「ベルリン1945」という三部作も、10代のために書かれた作品です。
「過去の失敗に向きあわなかったら、はたして私たちは現在を理解し、未来を形づくることができるでしょうか?」と、著者は後書きで問いかけています。
歴史は一般の人間とは無縁のところで、一部の権力者や指導者によって動かされているように思いがちです。しかし、第二次世界大戦が始まるきっかけを作ったヒトラーのナチ党を支持したのは、ドイツの民衆でした。
著者はこの第一作目で、ナチ党の台頭を許す土壌となった歴史の流れを、ベルリンで暮らす13歳の少年の目を通じて描いています。

13歳になるヘレは、ベルリンのなかでも最貧困層が住む通りのアパートで暮らしていた。父が出征してから四年、母は工場に働きに出ていたが、日々の食事にも事欠くような生活が続いていた。
そんな1918年11月、復員し家に戻ってきた父は、戦争で右腕を失っていた。
戦争の理不尽さを肌で感じた父は、ドイツ共産党の前進であるスパルクス団の活動に共鳴するようになった。
皇帝が退位した激動のベルリンで、意を異にする周囲の大人に影響され、ヘレと友達の間にも政治に対する意識の違いが生まれていった。


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