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読書記録です。
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2009.03.27 Fri
2006年5月31日発行  松籟社  1500円
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アーダルベルト・シュティフター(1805-1868)は、現在のチェコ南部で生まれた作家です。
ヨーロッパでは極端に評価が分かれる作家のようです。

シュティフター作品は風景描写が延々と続くという評判のわりに、「石さまざま」(上)の三篇はストーリー性も豊かで、楽しんで読めました。
けれども、最初の「花崗岩」を読み終えたときに感じた清清しさと、「石灰石」「電気石」を読んだあとでは印象が変わりました。
三篇しか読んでないのではっきりとは言えないのですが、清廉な表面の下に非常に耽美的な部分が潜んでいるように感じました。
「石さまざま」は(下)も読む予定なので、そのときにはもっと明快な感想を書きたいと思います。
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『花崗岩』
語り手の「私」は幼い頃、家の前に花崗岩に腰掛けるのが好きだった。
暖かい春のある日、幼い私がいつものように花崗岩に座っていると、ピッチ(油の一種)造りの老人が通りかかり、「足に塗ってやろうか」と声をかけてきたので、私は足を前に差し出した。
油まみれの足で家に戻った私が母に折檻されしょんぼりと花崗岩に腰掛けていると、祖父が来て足を洗ってくれた。
優しく寛大な祖父は私を連れ出し事情を訊いてくれた上で、ピッチ造りの老人の血縁にあたる人の数奇な一生を語り始めた。

『石灰石』
測量の仕事をしている友人が語るという形式の小説。
長年にわたり測量の仕事をしていたわたしは、いろいろな土地に行き、大勢の人々と知り合いになった。そのなかでもひときわ印象に残っているのは、石灰石に覆われた貧しい土地の司祭だった。
見たことがないほどくたびれきった服をまとった司祭は、質素な司祭館に住み、非常に慎ましい生活を送っていた。
ところがボロボロの黒い服の袖口からときおり見える下着は、わたしがこの世で見た限りもっとも上等で美しいものだった。
わたしはその土地で測量の仕事をしながら、朴訥な人柄のその司祭と次第に親交を深めていった。
そんなわたしに、司祭は遺言状を保管して欲しいと頼み、自分の生い立ちを語った。

『電気石』
前の二篇とは趣を異にするミステリー風の短編。
数年前のウィーンに、同じ館の住人から「年金のご主人」と呼ばれる40歳ぐらいの男がいた。
男は部屋中を有名人の肖像画で飾り、ピアノやヴィオリンを嗜む趣味人で、美しい妻と小さな娘と一緒に優雅な生活を送っていた。
その頃ウィーンには、人々をひきつけて止まないダルという非常に才能のある俳優がいた。
社交界の寵児でもあったダルは年金生活者と仲良くなった。
足しげく年金生活者の住まいを訪れるようになったダルは、年金生活者の妻と情事をしはじめた。
妻は不安から夫にすべてを打ち明け、怒りにかられた年金生活者はダルを探し回ったが、ダルの行方はようとして知れなかった。
そんなとき、年金生活者の妻が姿を消してしまった。
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三篇のなかでは「花崗岩」が一番好きです。「石灰石」も印象に残る美しい小説だと思います。
「電気石」はストーリーの組み立て方と、妻がどうなったのか最後まで明されないところが変だと思いますが、フェリーニのような映像が浮かんできて、わりと好きです。
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2009.03.26 Thu
1998年5月25日発行 青山出版社 1700円

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メイヴ・ビンチーは登場人物の個性を書き分けるのがとても上手な作家です。
バスの車中のようすと週末だけで、8人の人間の性格と人生をくっきり浮かび上がるように描き出してみせます。

週末ごとにダブリンを出発するライラック色の小型バスには、いつも同じ顔ぶれの8人が乗っています。
バスに3時間近く揺られて彼らが向かうのはラスドーンという小さな町です。
バスに乗っている20代から50代の8人の男女は、毎週ラスドーンに帰省するそれぞれの事情があります。
ダブリンからラスドーンへ向かうバスの車中とそれぞれがラスドーンで過ごした週末のようすを、一章でひとりずつ取り上げて描いています。

どんな人にでもそれぞれの人生があることを、改めて認識させてくれる小説です。
メイヴ・ビンチーの小説は女性向けだと思いますが、これは男性にもお勧めです。
2009.03.26 Thu
2008年1月30日発行 主婦の友社 1400円

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高校生の男の子が主人公。
アメリカのホームコメディのようなかノリの小説です。
大人にはちょっと物足りないけれど、中学生や高校生は面白く読めると思います。
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両親の離婚でいらついていた16歳のアレックスは、無免許で飲酒運転し隣家の庭に突っ込んだ。
老人ホームでの100時間の奉仕活動を命じれたアレックスが相手をすることになったのは、ソロモン・ルスイというユダヤ人の偏屈な老人だった。
インディシュ語で悪態をつくのが好きなソロモンに手を焼きながらも、アレックスは病気を持って生きていることや、老人になるとはどういうことなのかを少しずつ理解しはじめる。

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病室で『アンジェラの灰』を読んでいるソロモンを見たアレックスが、「ぼくも学校で読んだことがある」というシーンがあって、ほぅ、と思いました。
2009.03.25 Wed
2001年11月30日発行 扶桑社 各800円

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あとがきによると、著者名はメイヴ・ビンチーが正しいそうです。

女性の視点で描いた夫婦の物語です。
アイルランドの首都ダブリンが舞台の小説ですが、登場する女性の気持ちはとても良くわかります。
男女がお互いを理解し合うのは、どこの国でも同じように難しいですね。
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不動産会社でOLをしていたリアは、そこで知り合ったハンサムなダニー・リンチと結婚し、タラ通りに大きな屋敷に構え、二人の子どもにも恵まれた。
大きな家にはリアの家族や友人が絶えず訪れ、リアは慌しい生活のなかにも主婦としての幸せも感じていた。
ところが行きつけのレストランで、もう一人子どもが欲しいと口にしたリノの目の前で、夫のダニーはにわかに動揺しはじめ、リアが想像もしていなかったようなことを告白した。
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この後、リアはアメリカに住んでいるマリリンという女性と夏休みの2ヶ月間家を交換して生活することになります。
マリリンとリアは新しい環境のなかで、今までと違う自分を見つけます。

女性が目の前に立ちはだかった逆境を前向きに乗り越えていく物語は、メイヴ・ビンチーならではだと思います。
とても痛快な気持ちで読み終えました。


2009.03.25 Wed
2008年12月20日発行  新潮社  各1800円
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合わせて1000ページ近くある上下巻を、途中でやめられずに一気に読みした。
篠田節子らしい力感あふれた小説です。
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38歳の鈴木正彦は都庁に勤める傍ら、ゲームのノベライズ本の覆面作家をしていた。
フェニックスランドというゲーム製作会社の編集者矢口からオリジナルゲームを製作する話を持ちかけられた正彦は、作家一筋で生きていくことを決意。公務員を辞めた。
それが原因で妻と離婚した正彦だったが、5千ページにも及ぶ原稿を書き終えたころ、矢口との連絡が途絶えてしまった。
矢口は、フェニックスランドの社員ではなく、フェニックスランドの下請け会社マツプロダクションに使われていた編集者で、マツプロダクションは倒産していた。
2ヵ月後、新宿の公園で矢口を見つけた正彦は、自宅の1DKマンションに引きずり込むようにして連れ帰った。
正彦に平身低頭して頭を下げた矢口は、二人で宗教を作って生業にしようと、正彦に持ちかけた。
正彦と矢口は、正彦がゲームのために考えた『グゲ王国の秘宝』というシナリオを元に、「聖泉真法会」という新宗教のホームページを立ち上げた。
バーチャルな状態からスタートした「聖泉真法会」は徐々に信者を集め、モリミツという食品加工会社の社長に気に入れいられると、収入も信者も加速度的に増え始めた。
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人々は心の安定ではなく一時的名な気分の安定を求めて「聖泉真法会」を訪れる、と作中で著者は語っています。
何らかの負担を負わなければならない濃密な人間関係は煩わしいが、一人で生きていくのは寂しい。「聖泉真法会」を訪れた人々は、面倒な手順を踏まずに簡単に家族的な雰囲気のなかに入ることが出来ます。
けれど、簡単に手に入るものは簡単に崩壊するというが世の常です。
安易に物事を欲する私たちの愚かさや浅はかさが、まざまざまと描き出された、読み応えのある小説でした。
2009.03.17 Tue
2005年9月29日発行  ソニーマガジンズ 1600円

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15歳の少女フランチェスカが語り手のヤングアダルト作品ですが、15歳ぐらいの女の子が読むには、とても厳しい内容の小説です。

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15歳のフランチェスカ・ピアソンは、母親に苛立ちを感じるようになっていた。

それは大人になっていく過程で誰もが経験する感情だったが、フランチェスカの場合にはピアソン家特有の事情も絡んでいた。
腹違いの兄のトッドとフランチェスカ、妹のサママンサの父レイド・ピアソンは、元アメフトのスター選手で、今はテレビのスポーツキャスターをしている。
万人に愛されているレイド・ピアソンだったが、家では暴君のように振る舞い、自分の意に沿わないことがあると妻や子に暴力を振う男だった。
父の意向に背いて受けた制裁の痕を長袖の服やスカーフで覆い隠している母に、フランチェスカは哀れみではなく、苛立ちを募らせた。
母の趣味は工芸で、家から離れた土地にアトリエを持っていた。
母は次第にそこで過ごす時間が長くなり、家に戻らない日々が続くようになった。
そんな時、母が行方不明になったと警察から知らせがあった。

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大人になり始めたフランチェスカの心の揺れがきめ細かく描かれいます。
暗い内容ですが、ミステリー仕立てのストーリーなので最後まで飽きずに読めます。

ジョイス・キャロル・オーツの作品では、私は『アグリーガール』のほうが好きです。
2009.03.16 Mon
1998年4月30日発行 扶桑社  各629円

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同じ出版社の本なのに何故名前が違うのか解せませんが、モーヴ・ビンキーとメイブ・ビンチーは同一人物です。

ダブリンのあまり環境が良くない地域にあるマウンテン・ビュー高校でイタリア語の夜間クラスが始まりました。
そこに集まった人々を各章で一人ずつ取り上げて描いた連作の短編のような趣きの長編小説です。
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もうじき49歳になるエイダン・ダンは、ライバルにマウンテン・ビュー高校の校長職を奪われた見返りとして、長年の夢だったイタリア語のイブニング・クラスを開く権利を勝ち得た。

シチリアの小さな村で静かに暮らしていたアイルランド人のノラ・オドナヒューは、村の人々からシニョーラと呼ばれていた。
シニョーラが恋人だったマリオを追って村にやって来たのは24歳のときだった。
マリオは村で許婚のイタリア女性と結婚したが、シニョーラはそのまま村に留まった。それから26年後、交通事故でマリオが他界したため、シニョーラはアイルランドへ戻ることにした。
26年ぶりにシニョーラが降り立ったのは、近代的な大都市へと様変わりしたダブリンだった。
家族とも疎遠になり、頼る人もいないダブリンで、シニョーラは自活の道を探るべくオープン・カフェのウエートレスに声をかけた。
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大都市ダブリンで一人ぼっちのシニョーラはどうするんだろう、と夢中になって読みました。
環境も年齢も様々な人々がイブニング・クラスでイタリア語を学び、全員でイタリアへ旅行する計画を立てます。
そんなイブニング・クラスで、それぞれがイタリア語以外にも何かを学んで行きます。

期待を裏切られることで心地よさが感じられる小説もありますが、モーヴ・ビンキーの良さは読者の期待を裏ぎらないことにあると思います。
こんなに夢中になって、本のページをめくったのは久しぶりでした。大満足です。
2009.03.11 Wed
2006年7月10日発行 白水社

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マーシャ・メヘラーンはイラン出身の女性作家で、この本がデビュー作です。
写真を見るとなかなか美人です。

イラン人の3姉妹がライルランドの片田舎でレストランを開くお話です。
小説としては面白くなかったですが、小説のなかに登場するスパイスやハーブを大量に使うイラン料理は美味しそうです。
レシピも載っているので、珍しいイラン料理の紹介本として読むには良いかも。

2009.03.10 Tue
2003年8月30日発行  扶桑社  1048円

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メイブ・ビンチー(1940~)はアイルランド人の女性作家です。
いつも利用している図書館のWEBサイトでは、モーヴ・ビンキー名でのほうがたくさんの著作が表示されました。

「幸せ」「奇跡」「天使」という言葉がタイトルにつく本にはどこか怪しげなイメージがあるのでなるべく避けるようにしていますが、これは面白かったです。
下の表紙のイラストにあるような女性は小説のなかに登場しません。
タイトルも装丁も良くないと思います。

『幸せを運ぶ料理店』は一言で言うと、アイルランド版『渡る世間は鬼ばかり』のような小説です。
キャシーとトムが立ち上げたケータリングサービスの店が機動に乗るまでの一年を、二人を取り巻く家族や恋人とのエピソードを交えて描いています。
登場人物のページには30人以上の人物が紹介されています。
これだけ登場人物が多いと、ふつうは誰が誰だかわからなくなってしまいがちですが、それぞれの個性がしっかり書き分けられているので、記憶力が悪い私でも混乱することなく読めました。

アイルランドという土地柄のせいもあるのか、登場人物が前向きでエネルギッシュです。
最近、鬱々とした小説ばかり読んでいたので、とても新鮮に感ました。

2009.03.05 Thu
2005年9月16日発行  1800円  みすず書房



フィリップ・クロデールは1962年生まれのフランス人作家です。
『リンさんの小さな子』は、胸の奥に静かに滑り込んで内側からそっと触れ、ずっとそこに止まっていてくれるような物語です。
主な登場人物はリンさんとバルクさんという老人が二人だけです。

               ********************
戦争で家族を失ったリンさんは、孫娘で赤ん坊のサン・ディウを抱いて船で知らない国に運ばれて来た。
宿舎に連れていかれたリンさんは、数日の間怖くて外出できずにいたが、世話係の勧めで孫を抱いて散歩に出かけた。
ベンチを見つけて腰を下ろしたリンさんの隣に太った男性が座った。
それがバルクさんだった。バルクさんは赤ん坊の名を身振りで訊ねた。
リンさんが答えると、今度をは手をのばしてリンさんの名前を訊ねた。
リンさんが国の言葉で「タオ・ライ」と挨拶を返すと、バルクさんは「タオ・ライ」がリンさんの名前だと思い込んでしまった。
言葉が通じないリンさんの隣で、バルクさんは自分の身の上を語り始めた。
バルクさんは、ベンチの向かいにある公園で回転木馬の係りをしていた奥さんを、二ヶ月前に亡くしたばかりだった。
その日から、リンさんとバルクさんは毎日そこで会い、言葉も通じないまま友情を育んでいった。
そんなある日リンさんは突然、違う場所に移動させられてしまった。
               ********************

難民宿舎で必要なものを訊かれたリンさんが、自分は吸わないのに、ヘビースモーカーのバルクさんのことを思って煙草を支給してもらい、それをバルクさんに渡す箇所で胸がいっぱいになりました。
好意を示せる相手が居るのは幸せなことなんだ、と気づかさせられました。
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