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読書記録です。
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2009.09.22 Tue
2004年1月30日発行  文藝春秋 2000円
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熊谷達也はこの作品で、山本周五郎賞・直木賞をダブル受賞しています。

『邂逅の森』は、『相剋の森』に登場した人々の曽祖父の代の物語です。

現在のマタギを扱った『相剋の森』では、マタギそのものを描写した場面が少なく、物足りなさを感じました。
けれど時代を遡った本書では、マタギたちが山で狩猟をするところから物語が始まり、最終章では熊と人間が生死をかけて戦う場面が、双方の息遣いが感じられるような迫力ある描写で続いています。

マタギの世界が堪能できます。

松橋富治は明治38年、秋田県の山すそにある打当という小集落に生まれた。
耕作地が少なく農業だけでは暮らしが成り立たない打当の住民にとって、山の恵みは暮らしに欠かせない資源だった。
そんな土地に生を受けなるべくしてマタギになった富治も、16歳のときから旅マタギと呼ばれる出稼ぎ猟に随伴するようになり、マタギとしての研鑽を積んでいた。
25歳になった富治は、村を上げて行う毒流し漁で、文枝という美しい娘と出合い、愛し合うようになった。
地主の娘である文枝が富治の子を身ごもったことで、富治の運命は大きく動き出した。


――彼ら(マタギ)に流れる狩猟民の血は、実は、都会に暮らす我々の中にも、等しく眠っている。それが時として暴れだすと、手に負えないものとなり、社会生活の破壊者となってしまう。だが、猟により、その血を解き放つ経験を蓄積しているマタギたちは、人間に潜む野性や獣性、そして欲望を制御する術(すべ)も知っている。
 山に入ったマタギは、同じ人間とは思えないほど、里にいる時とは顔が変わる。存在そのものが変容する。そんな人間の生の姿を、私は『邂逅の森』という小説で描きたかった――自著を語るより

著者は本書を執筆した理由を、著者は上記のように語っています。

マタギになった気分でわくわくしながら『『邂逅の森』を読んだ私のなかにも、野性や獣性というようなものが存在するかもしれません。

普段は自然とは縁遠い生活を送っていますが、本を読むことで一生訪れることがないような山々を駆け巡り、動物と対峙させてもらいました。

自然のなかで暮らす人々の、打算のかけらもないおおらかで純朴な愛情にも、心を打たれました。

よっちゃん
合理主義、効率主義で生きている、そうせざるをえない現実ですから、よけいこの自然に溶け込んで生きる、獣性も含めた生活姿勢の大切さに打たれるのでしょうね。
これを読んで石牟礼道子の『苦海浄土』を読まれたのであればなおさらですね。
チッソ事件ではこの著作の影響力はとても大きかったことを覚えています。
2009.09.25 Fri 13:39 URL [ Edit ]
みのり
よっちゃん、おはようございます。

そうですね。
物質的なことで比べたら今のほうが豊かですが、人間らしさとか心の豊かさは、自然のなかで生きていた人々に及ばないような気がします。

はい、近代化という命題のもとで、利益や利便性を追い求めるうちに、自然や人を思いやる気持ちを蔑ろにしてきたのが、今の私たちなんだなぁ、と思いました。

50年経った今も水俣病で苦しんでいる方がいらっしゃるそうです。
『苦海浄土』は、読んで良かったと思います。
2009.09.27 Sun 09:34 URL [ Edit ]
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ある民族にとって自然は過酷であった。そこでは人間に絶対服従を課したのが神であった。しかし、日本民族にとって自然は生きとし生けるものに恵みを与える神である 大いなる自然の道理に導かれている存在。山、森、谷、川、そのものがそうであり、そこで息づいている草木...
日記風雑読書きなぐり 2009.09.25 Fri 13:29
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