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読書記録です。
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2008.09.10 Wed
2003年3月31日発行 北海道新聞社 1800円



大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作品です。
「進行性筋ジストロフィー」という病で、人工呼吸器を付け、寝たきりの状態で「自活生活」をしている鹿野靖明という人物がいる。24時間介護を必要とする鹿野さんの家には、主婦、学生、看護師など大勢の人々がボランティアに来る。それを本にしたい、と著者は知り合いの編集者から話を持ちかけられました。
「シカノ邸」を訪れた著書が出会ったのは、それまで重度の障害者に抱いていた先入観を覆す人物でした。迷惑をかけることは当たり前、「威張っている」ようにさえ見える鹿野さんのさんの態度に、著者は大きな戸惑いを感じます。
「人に迷惑をかけない。かけられたくない」と思いながら生きてきた著者は、期せずして自分自身の生き方と向き合わなければならい状況に追い込まれてしまいました。
尊大とも思える鹿野さんの介護ボランティアに来る人々の目的は何だろう、と著者の意識はボランティアの人々に向って行きます。
障害者の自立を描いた本というより、全く異質な生き方と出会った人の自分自身との葛藤を描いた本だと思います。

――現代社会を生きる健常者にとって、「ただ生きる」だけではどうにもならない時代である。今や、自分がフツウであると意識することは、苦しみをもたらす要素にすらなりうる。(中略)もっと個性的で、もっと魅力的な特別な生き方をしなければならないという思い込みが、私も含め健常者たちの生を追い詰める。(中略)ところが、重度身体障害者の自立に触れて、誰もがまず感じることは、「フツウに生きる」ことのポジティブで生き生きとした意味なのだろう――という部分は、とても考えされる一文だと思いました。

著者は30代での独身のフリーライターです。
子どもを育てたり、親の面倒をみたりという経験があれば、「人に迷惑をかけない。かけられたくない」とは思わないだろうし、もっと違った視点で鹿野さんを理解して描くことが出来たのではないか、と少し残念な気がしました。
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